『海外農林業情報』No.75

海外農林業情報 No.75 (2017年8月25日


FAO食料価格指数について

FAO食料価格指数(FFPI)は、FAOが毎月主要食料の総合指数を計測し、発表するものです。世界の農産物市場の動向をモニタリングするため1996年に導入され、5つのグループの価格指数の平均(各グループの輸出シェアにより加重平均)から構成されています。具体的には、穀物(小麦、トウモロコシ、コメ)、乳製品(バター、全脂粉乳、脱脂粉乳、チーズ)、肉類(鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉)、砂糖、植物油(大豆油、ヒマワリ油、ナタネ油、落花生油、綿実油、コプラ油、パーム核、パーム油等)を対象としています。また、基準年を2002から2004年として、その平均指数を100としています。2011年には総合指数が229.9ポイントと最高水準に達し、その後徐々に下がってきていましたが、今年は反転して上昇しています。

FAOは8月に入り、7月の価格指数を次の通り発表しました。まず、総合指数は179.1ポイントと前年に比べ16.6ポイント(10.2%)高い水準となっています。全体として、穀物と砂糖、乳製品は供給の制約により価格指数が押し上げられている一方、肉類の価格指数は安定し、植物油の価格指数は低下しています。

内訳を見ると、穀物は162.2ポイントで、前年より14.1ポイント(9.5%)高くなっています。これは小麦とコメの価格上昇によるもので、トウモロコシの価格は横ばいとなっています。植物油は160.4ポイントと昨年8月以来最も低い水準ですが、これは東南アジアで良好な生産が見込まれるパーム油の影響によるものです。一方、ナタネ油とヒマワリ油の価格は上昇基調にあり、大豆油も堅調な動きとなっています。乳製品は、前年に比べ74.3ポイント(52.2%)も高い216.6ポイントとなっています。これはバターとチーズ、全脂粉乳の国際価格上昇によるもので、特にバターは輸出量の減少が価格を押し上げています。一方、脱脂粉乳の国際価格は低下しています。肉類の指数は175.1ポイントと、前年比8.2%増となっています。これは羊肉の国際価格が上昇していることを受けており、牛肉、豚肉、鶏肉の価格は低下しています。砂糖の指数は、ブラジル・レアルの為替レートの影響を受け、前年比26%減の207.5ポイントとなっています。

米国の大豆・トウモロコシの生産について

米国農務省(USDA)は8月10日付で、米国の作物の生産見通しを発表しました。これによると、米国のトウモロコシの単収は169.5ブッシェル※と見込まれ、前年に比べると5.1ブッシェル少ないものの史上3番目に高い水準となっています。他方、大豆の単収は49.4ブッシェル※と前年より2.7ブッシェル少ないものの、収穫面積が前年よりも7%多い8,870万エーカーと見込まれることから、生産量は前年比2%増の40億3,800万ブッシェルと、記録的な水準になるものと予想されます。

7月から8月にかけての中西部の高温・乾燥気候が心配され、先物市場の価格が急上昇していましたが、トウモロコシ、大豆とも、東部・西部の収量増が大きく、これで相当相殺されたようで、10日の農務省の発表を受けて価格も落ち着きを示し始めました。大豆はこれから9月にかけての気候にも影響されますが、トウモロコシはこれでほぼ確定になると思われます。
※ 1ブッシェルは、トウモロコシの場合25.4kg、大豆は27.2kg


<参考リンク>
FAO Food Price Index(FAO)
USDA Forecasts Record-High Soybean Production in 2017(USDA、8/10付)
August Crop Production: Executive Summary(USDA、8/10付)

文責:森 麻衣子

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海外農林業情報 No.67 (2016年12月22日


日EU間のEPAの動き

日EU間の経済連携協定(Economic Partnership Agreement, EPA)は、2013年3月の首脳間合意により開始されました。これは、関税撤廃や投資ルールの整備等を通じて貿易・投資を活性化することを目指して、日本にとってはTPPと並ぶ、EUにとっては米国と交渉中のTTIPと並ぶ「メガFTA」の一つとなることを目指したものです。

交渉は、2014年4月には物品の関税引下げオファーが、さらに7月には投資、サービス分野の自由化のオファーが交換され、本格化されました。しかしながら、交渉分野としても、物品、サービス、知的所有権、政府調達、投資ルール、非関税障壁ということで、TPPより範囲が限られており、また、日本側としては、TPP交渉が先行しており、この枠を出ない対応にならざるを得ない状況となっていたと思われます。また、交渉は、交渉官レベルで積み重ねられており、双方とも具体的な内容を公表しないということで不透明なところがありますが、EU側の関心は、チーズ、豚肉、ワインの市場アクセス改善と地理的表示(GI)の保護、地方公共団体・鉄道の調達(政府調達)の拡大、自動車、加工食品、医薬品等の基準認証に関する非関税措置、日本側の関心は、EUの工業品の関税撤廃、特に自動車の10%関税、電子機器の14%関税の撤廃、日本側の投資企業に対する欧州側の規制問題等で、これらに集中して交渉が行われたようです。

双方は、2016年中の合意を目指していましたが、12月12日から16日までの交渉会議で終着点が見出せず、再度来年1月に会合を持つこととなったと発表されました。EU側の記者会見によれば、残る重要問題は、日本のチーズ、豚肉の市場アクセスとEUの工業品の関税だったようです。EU側は、日本のチーズ、豚肉問題の対応によって自動車、電子機器の関税引き下げに応ずる準備はあるとのことで、また、EU側交渉官によれば、豚肉では、「前進があった」とされています。双方とも、グローバリゼーションのモメンタムを維持するためにも、何とか米国のトランプ大統領の就任式(1月20日)前に決着を図りたい意向があるようで、1月の交渉、その直後にでも閣僚交渉を行っていく構えのようです。もし、この機会を失するとフランス、ドイツの選挙、3月には、英国離脱の通告が予想されているため、これも漂流せざるを得なくなるのではないかと言われています。

<参考リンク>
経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)(外務省ホームページ)
年内の大枠合意難しく(日本経済新聞、12月17日朝刊)
日欧EPAに時間の壁(日本経済新聞、12月18日朝刊)
日欧EPA年内大枠合意見送り(日本農業新聞、12月18日)

 

( 文責:森 麻衣子)


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