『世界の食料安全保障と栄養の現状2019年報告 要約版』

『世界の食料安全保障と栄養の現状2019年報告 要約版:経済の低迷・悪化から食料安全保障を守る』
2020年3月、22×16cm、30p


FAOの報告書『The State of Food Secutity and Nutrition in the World 2019』の要約版を翻訳・刊行しました。

本年版は、食料不安は単に「飢餓」を指すだけにとどまらないという点に焦点を当て、今回初めて、世界中の多くの人々が、飢えるほどではないものの、中等度の食料不安を抱えている事実を示すエビデンスを提供しています。こうした人々は、自身の食料獲得能力を脅かすような不確実性に直面しており、消費する食料の質や量に妥協を強いられています。

本書はまた、世界の栄養の現状が、低出生体重児数の削減や5 歳未満児の発育阻害の削減を含む国際栄養目標の達成に向かう軌道に乗っていないことに警鐘を鳴らしています。さらに、過体重と肥満がすべての地域で増加を続けており、とりわけ学齢期の子どもと成人でこの傾向が著しいことも明らかにしています。

また、経済の低迷または後退に陥った多くの国々で飢餓が増加しているなか、本書では景気の低迷・悪化と食料不安・栄養不良との因果関係を紐解き、前者が後者にもたらす影響は、飢餓や栄養不良の根本原因、すなわち貧困、格差、社会的排除を取り除く取り組みによってのみ相殺することができると論じています。


世界の食料・農業問題に関わる方の必読の書としてお薦めします。