『海外農林業情報』No.49

海外農林業情報 No.49 (2015年10月5日
 

ポストMDGsとしての持続的開発のための2030アジェンダ
わが国を含む国連加盟国は、国連サミットに参加し、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択しました。
同アジェンダは、その宣言、17項目の開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)、それぞれの目標における合計169項目のターゲット等で構成されています。SDGsは、これまでの、2015年を目標年次としたミレニアム開発目標(MDGs)を改定したもので、17項目の開発目標は以下のとおりです。

表1 MDGsの開発目標17項目


出典:国連広報センター「持続可能な開発サミット、9月25-27日にニューヨークの国連本部で開催へ(概要)」

 

以上の17項目の目標の中で、MDGsの農業農村開発と直接関係するのは、目標1「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」と目標2「飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する」があり、MDGsが目標とした「半減」を「終止符を打つ」としています。
国連はそれぞれの目標についてファクトシートを公開しており、目標1と目標2については、以下のように現状を把握しています。


表2 目標1および2に関するファクトシート


出典:国連広報センター「持続可能な開発のための2030アジェンダ採択 -- 持続可能な開発目標ファクトシート」


さらに、それぞれの目標について合計169項目のターゲットのうち、目標2については8項目存在し、その内容は以下のとおりです。

目標2のターゲット
・2030年までに、飢餓を終了させ、全ての人々に対して1年を通じて安全で、栄養があり十分な食料のアクセスを保証する。
・2030年までに、あらゆる栄養失調を終了させる。
・2030年までに、小規模な食料生産者達の農業生産と収入を2倍にする。
・2030年までに、持続的な食料生産システムを保証し、栽培に強い農業を実践する。
・2020年までに、種子、栽培植物、飼育動物および関連する野生種の遺伝的多様性を維持する。
・農村部のインフラ、農業研究および普及サービス、技術開発、植物および動物の遺伝子バンクに関わる投資を拡大する
・世界の農業マーケットにおける貿易制限や歪みを正常化し、防止する。
・極端な食料価格の不安定の制限を助けるため、食品市場が適切に機能するよう対策を講じる。

なお、今回のSDGsでは環境問題が大きく取り入れられており、農林水産業との関係では、目標12から15で触れられています。このうち、目標12の中で「2030年までに、世界の一人当たりの食料廃棄を半減させる」としているターゲットが注目されます。


<参考リンク>
持続可能な開発サミット、9月25-27日にニューヨークの国連本部で開催へ(概要)(国連広報センター)
SDGs開発目標特設サイト(The Global Goals for Sustainable Development、日本語)
 

( 文責:西野 俊一郎)

 

『海外農林業情報』のバックナンバーは、こちらから。

刊行物一覧へは、こちらから。