良い種を広めよう~種子選別機の設置準備~

ミャンマー:JICAイネ保証種子流通促進プロジェクト

JAICAFは(株)VSOCと協力して、昨年10月からミャンマーのエーヤワディー地域およびサガイン地域シュエボー郡を対象地域として、JICAイネ保証種子流通促進プロジェクトを実施しています。このプロジェクトは、イネ優良種子の増殖・普及システムの強化を目的とした「農民参加による優良種子増殖普及システム確立計画プロジェクト」(2011年-2017年実施)を引き継いだもので、コメの生産性や品質の向上を目指して、官民連携の強化や人材育成、種子審査体制の改善および保証種子の流通量増大に取り組んでいます。

保証種子を効率よく生産するには、生育の悪い籾などを取り除く種子の調整が必要です。そのためには種子選別機の活用が重要となります。今回、種子選別機導入の事前準備のため、現地に2週間行ってきました。

現地ではまず、据付予定地となっている倉庫の現状を確認しました。当初、候補の倉庫はエーヤワディー地域ピアポン郡のピアポン T/S(タウンシップ)、マウビン郡のマウビン T/S、パテイン郡のカンジーダウン T/Sの3ヵ所でした。しかし、このうち、ピアポンの倉庫は非常に狭く改修が必要な部分が多いために必要状況を満たしておらず、同郡のチャイラット T/Sの倉庫も見学した結果、チャイラットを新しい候補としました。さらに、候補倉庫3ヵ所を詳しく確認し、選別機を設置するために必要な改修の作業項目を決定しました。具体的には入口周辺の地面、倉庫の屋根および床の修繕と選別機用の特殊電源の導入等です。各倉庫の簡単な構造と、選別機の設置位置を示した図も作成しました。今後は農業局が主体となって行う改修作業をフォローし、11月頃に選別機を導入する予定です。

また、この活動と並行して、先行プロジェクトが導入した選別機の運用状況の確認を行い、必要なスペアパーツリストも作成しました。

本プロジェクトはエーヤワディー地域だけでなく、中央乾燥地のシュエボー郡も対象としています。派遣期間の後半には、シュエボー郡におけるプロジェクト最初の研修にも参加しました。研修では、保証種子を含む優良種子の重要性を学ぶ座学と、実際に優良種子を活用した稲作栽培の実習を行います。今回は初回であり、実習では苗代づくりと播種作業を行いました。研修参加者は主に農業局の普及員で、種子の塩水選から播種まで実に手慣れたものでした。今後、収穫まで複数回の研修を行い、優良種子の栽培と普及について技術を向上させていく予定です。

プロジェクト対象区であるエーヤワディー地域では、ちょうど田植えを行う時期でした。田圃では女性達が集まって、苗を片手に田植えを行なっていました。日本と異なり、均平が上手くなされておらず、ところどころ水深がかなり深い箇所があるためか、大きく育った苗を使っています。その苗を70cm程の棒を使って植えていきます。その作業はとても手馴れており、器用かつスピーディーで、棒の先端で苗の根本をひっかけたと思ったら素早く棒を土壌に差し込んで固定しています。腰を曲げて田植えをしないのです。初めて見る興味深い光景でした。
 

(報告:西野俊一郎)
 

 

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