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『世界の食料安全保障と栄養の現状2022年報告 要約版』

『世界の食料安全保障と栄養の現状2022年報告 要約版:健康的な食事がより手頃な価格で手に入るよう食料・農業政策を見直す』
2022年12月、22×16cm、34p

FAOの報告書『The State of Food Secutity and Nutrition in the World 2022』の要約版を翻訳・刊行しました。

持続可能な開発目標(SDGs)の目標年である2030 年まで、あと8年しか残っていません。SDG 目標2 に含まれる多くのターゲットの達成が年々遠のく一方で、2030 年までの時間は限られています。SDG 目標2 に向けて進展が見られる取り組みもありますが、そうした取り組みも、より難しく不確実な状況に直面した場合には不十分であることがわかっています。昨今の食料不安と栄養不良の主要因、すなわち紛争、異常気象、経済的ショックの激化は、栄養価の高い食品のコスト高を伴っており、食料安全保障と栄養の状況は、今後も課題となっていくとみられます。この状況は、農業・食料システムが変革され、レジリエンスが高まり、低コストで栄養価の高い食品と手頃な価格の健康的な食事を、持続可能な形で包括的にすべての人々に提供できるようになるまで続くでしょう。

本年の報告書では、健康的な食事のコストと経済的な入手しやすさに関する最新の推定値を含む、世界の食料安全保障と栄養の最新情報を提示しています。報告書は、現在の景気後退により、多くの政府にとってSDG目標2 の達成に必要な農業・食料システムの変革に投資するための予算の増額が困難になっていることを認めており、報告書は、各国政府がいかにして、政策を通じて食料・農業セクターを支援しているかを深く掘り下げ、エビデンスに基づいた提言を行っています。

本書は、現在世界中で実施されている最も一般的な食料・農業政策の支援の概要を提示し、支援の規模や、最も支援されている活動とアクター(あるいは逆に罰則が課せられている農産物)、ならびにこの支援が栄養価の高い食品の相対的コストを押し上げて不健康な食事を促進している道筋をよりよく理解できるようにしています。また、栄養価の高い食品のコストを削減できる食料・農業政策支援の別の組み合わせや、その結果生じるトレードオフをどのように管理すれば農業・食料システムがより効率的かつ持続可能で包摂的なものになるかについて、分析と証拠に基づいた指針を示しています。特に、各国政府が栄養価の高い食品のコストを削減し、健康的な食事を物理的・経済的に入手しやすくするため、既存の公的予算を、費用対効果が
高くより効率的なものとし、持続的にかつ誰一人取り残すことなく再配分する方法を再検討し始めなければならないと提言しています。そして、農業・食料システムの内外における、支援を見直す取り組みを支えるために欠かせない補完的な政策や、取り組みを阻害または促進する政治経済的な要因と原動力を詳しく分析しています。