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アリの襲撃 ―テレメトリー機材のメインテナンス―

タイ:平成30年度かんがい水管理技術海外展開支援調査(農水省補助事業)

本調査は、アジア諸国等でのビジネス機会を活かすため、我が国の灌漑排水地区で導入されている、各農業水利施設を遠隔操作できる水管理システム(テレコン・テレメタリングシステム)について、ODAと連携しながら我が国の民間企業が海外展開する可能性を調査・検討するものである。本調査は海外農業開発コンサルタンツ協会(ADCA)が平成27年度から実施しており、JAICAFは調査チームのメンバーとして参加し、インドネシア、ベトナム、タイにおいてテレメトリー(TM; 遠隔計測)機材の設置及び受信したTMデータの分析を行っている。

タイでは、平成29年度に東部タイのチョンブリ県にある王立灌漑局第9地域事務所(RIO9)が管轄するバンプラ湖(アースダムの貯水池、総貯水量1.2億トン)流域をモデルとして7カ所に水位・雨量のTM機材を設置した。機材設置後、貯水池や排水路、堰のある河川では順調に稼働し、10分間隔の水位・雨量データが自動送信されていた。しかし自然河川では、平成29年11月の洪水により2カ所のTM機材が流出したため、同年11月に機材を再設置せざるをえなかった。

平成30年5月には、自然河川でさらに2台の異常が発見された。1台の原因はアリがTMのコントロールボックス内に巣を作ったことであった。7月18日に現地を訪れ、状況を確認し、ボックス内から機械部品をすべて取り外してアリを駆除し、基盤(集積回路)を新しいものへ交換したところ、正常に戻った。

もう1台は大雨により川床に土砂が堆積し、水位計が流出しそうだったため、RIO9が水位計を引き上げ、下水道台座下に保護していた。同じく7月18日、このTM機材を安全な場所である道路橋の橋脚に移設した。RIO9の維持管理作業チームが橋脚に取り付けるための金属構造物を製作したので、作業は順調であった。この機材にもアリが多く侵入していたが、基盤に損傷はなかった。

インドネシア、ベトナムではコンクリート用水路やポンプ場にTMを設置したため、異常は認められていない。タイで初めて自然河川に設置したのだが、見かけが小河川だったので洪水の危険性やアリの存在を軽視したのが被害を受けた原因である。

なお3カ国の現場では、これまで目測で判断していた水位・雨量が、TMによりスマートフォンでリアルタイムに得られるようになり、TMの水管理の効率化への寄与が認識されている。また、モデル地区だけでなく、域内全体をカバーするTMネットワーク整備の必要性が議論されている。

(報告:松原 英治) 

アリが巣を作ったテレメトリーのコントロールボックス(Huay Song Thon川) テレメトリー機材の道路橋への移設(Ban Thang Tong川)

 

[問い合わせ先]
松原 英治 TEL:03-5772-7880