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『海外農林業情報』No.12

海外農林業情報 No.12(2012 年9月28日

貿易担当大臣から各国首脳へのTPP 交渉結果報告について

9月5日から9日にウラジオストクで実施されたAPEC 会合に併せて、TPP に参加する9ヵ国の首脳が会合を行い、これに先立って発表された、13 回目までのTPP 交渉結果に関する貿易担当大臣からの報告を踏まえ、首脳としての宣言が出されました。

貿易担当大臣からの報告は、期待されたような具体性には乏しく、全体として政府調達等29分野に亘っての交渉が進展しており、更に、原産地規則、投資、金融サービス、暫定加入に関わる課題にも交渉が及んでいるという一般的な内容となっています。それぞれの課題によって交渉の進み方は異なっているようです。報告は、(1)市場アクセス、(2)地域全域にまたがる協定、(3)分野横断的(Cross-Cutting)な問題、(4)新たな課題、(5)新規加入問題(メキシコ・カナダ)に分けて、進展状況を示しており、特に(1)においては、サービス・投資に関して、市場へのアクセスに対し例外を設定する(ネガティブリスト方式)という基本原則に基づき作業するとされています。この方式では厳しい交渉が続いており、センシティブな分野の交渉が多く残っているようです。今後の交渉には、更なる努力と柔軟な対応が求められています。

一方、首脳宣言でも、さらに交渉を急ぐべきとの内容にとどまりましたが、メキシコ・カナダが交渉に参加することについては、歓迎の意を表しました。

いずれにせよ、TPP 交渉は今後も難しい問題を抱えていることが明らかにされました。
昨年11 月に開催されたホノルルのAPEC では、2012 年内の交渉終了を目指すべきとしていましたが、今回はできるものについては年内に交渉を終えるとしているものの終了期限についての具体的な言及はなされませんでした。このことから、相当多くの難題が残されており、今年度中の交渉終了および合意は断念したように読めます。

なお、9月6日から15 日にかけて、第14 回TPP 交渉ラウンドが米国ヴァージニア州リースバーグで開催されましたが、それぞれの分野で大きな進展はありませんでした。米国では、今後の交渉は来年いっぱいかかるのではと懸念する声もあります。

農業関係の大きな問題は、2 つあります。1 つは国営企業(SOE)ルールに関するもので、米国からの農産物輸出に対する金融、補助金、食料援助の問題を同時に取り上げるべきであるとオーストラリアが主張しているようです。もう1 つは二国間の個別品目交渉に関するもので、乳製品については、米国とニュージーランドの間に進展はありませんでした。
砂糖については、オーストラリアからの市場アクセス拡大要求に米国が応じようとしていません。また、オーストラリアからメキシコへ輸出される砂糖が、メキシコから米国への砂糖の輸出増になり米国国内市場を脅かすのではとの声があるようです。

農産物需給状況を受けた国家間の対策について

USDA(米国農務省)が発表するWorld Agricultural Supply and Demand Estimates(9月12日付)によると、2012/13 年度における米国のトウモロコシ生産量予測は、8月発表値の2億7,379 万トンから9月発表値の2億7,249 万トンへと僅かに減少し、ダイズについても8月発表値の7,327 万トンから9月発表値7,169 万トンへと減少が示されています。
一方で、トウモロコシおよびダイズ価格は、最も高い価格を示した時期よりも落ち着いています。ダイズ価格の低下の背景には、南米の好調なダイズ生産も背景にあります。全体として穀物相場に緩みが見えるものの、価格は依然として高い水準にあります。

上記を含めた最近の農産物需給関係を受けて、上記APEC 首脳会議では、食料価格高騰の危機意識から、食料輸出に係る禁輸及びその他の制限措置が価格の乱高下を生じさせ得るとして、これまで示してきた保護主義に対抗するコミットメントを再確認し、各国とも輸出制限措置をとらないことが申し合わされたようです。一方、米国は、今後、バイオ燃料の利用が抑えられることで、関連会社への悪影響が予想されるとともに、石油価格上昇につながる可能性を懸念しています。

更に、フランスのオランド大統領とFAO ダ・シルバ事務局長は、9月17 日にパリで協議した結果、10 月16 日の世界食料デーに合わせて、迅速対応フォーラムの閣僚級会合を開催することを呼びかけています。この会合では、食料価格の乱高下に対する政策対応が議論されることとなっていますが、農業市場情報システム(AMIS)初年度議長国のフランスや9月末から議長国を引継ぐ米国等、各国の対応が注目されます。なお、FAO は食料需給状況の背景を「Food Outlook(世界の食料需給見通し)」として発表しています(『世界の農林水産』No.828 に日本語概要を掲載)。

参考リンク
TPP 交渉参加国貿易担当大臣から首脳への交渉報告について
World Agricultural Supply and Demand Estimates(USDA、9月12 日)
『世界の農林水産』 No.828(JAICAF、2012 年9月)

(文責:西野 俊一郎)