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「EUのCAP(共通農業政策)改革」

EUのCAP(共通農業政策)改革

EU委員会(Commission)、理事会(Council)及び議会(Parliament)は、懸案であった新CAPの概要について合意したことが6月26日に委員会事務局から発表されました。これは、1993年のマクシャーリー改革以来の大改革で、WTOの国内補助金削減の方向を見据えつつ、かつ農業の持つ多面的機能を意識したもので、「農業振興政策」から「公共財(環境等)を維持・供給する政策」への転換として注目されるものです。

この合意は、秋までに委員会で法文に整理され、理事会、議会の同意を得て2014-2020年CAPとして実施に移されるものですが、当初予定された枠組み合意時期が遅れたため、直接支払いの部分は、2015年産のものからの適用となるようです。
 新CAPは、現行制度と同じく、直接支払い(Direct Payment)と市場調整(Market Management)の第1の柱 (Pillar)と農村振興(Rural Development)政策の第2の柱に分かれておりますが、その概要は次の通りとなっています。

1.直接支払い

 直接支払いは、1993年のマクシャーリー改革といわれた改革において、これまでの価格維持支出を単位面積当たりに計算して、その時の作付面積に応じて加盟国ごとに資金を配分し、それをもって、それぞれの国が、国全体としての平均単価、又は一定の地域(国によっては農業形態の違いにより設定できる)の平均単価で、それぞれの農家ごとに面積に応じて、支払うものでした。
 今回の改革では、この国別の資金配分を改善するのみでなく、同じ国内でもその支払い内容を変更することを目指しております。具体的には、直接支払いの約70%を基本支払(Basic Payment Scheme, BPS)とし、約30%は緑化支払い(Greening Payment)として、環境公共財を提供する農業者に支払われることとなります。また、対象面積は、2014年を基準年としておりますが、2013年の直接支払い受給の実績と関連させる(基本的には受給実績があること)こととしております。これは、原則として、農地の転用面積分しか新規開墾地を対象としないこととなり、面積的な拡大を抑えることとなります。

 基本支払は、若手農業者支払い、条件不利地域支払い、小農計画支払い、特例(30haまでの支払い)支払い及び特定作物支払い用の資金を除く、国別配分資金の70%とするとしております。加盟国は、全国一律にするか、一定の地域別にするかの選択で単価を決めます。その単価をより平準化するため、国別(又は地域別)単価の90%以下の農家のものを徐々に引き上げ、2019年までには最低でも60%となるようにし、その引き上げ割合に応じて平均単価以上の農家のものを調整する(各国の選択により30%以上は引き下げないとすることができる)こととしております。また、加盟国は、各国別資金の30%までを30haまで(その国の平均農場面積が30haより大きい場合は平均面積まで)の面積に上乗せ分(特例支払い)として再配分できることとしております(30haまでの単価をそれ以上のものより高く設定できることとなります)。また、各国は、支払い上限面積を設定することも認められます。
 さらに、40才以下の新規就農者には、5年間にわたりこの基本部分の25%が加算されます(但し、国別総資金額の2%以内に限る)。
 また、各国は、その割り当て資金の一定額の範囲内で次のような種々の政策選択が可能となります。
1)農家の選択で、小農計画に参加することによって、この支払に代えて一律に500?から1250?を受け取ることができる措置を設ける。これにより、計算の簡略化が図れますし、手続きが簡素化され、さらに農家は種々の条件に煩わされないで済みます(国別総資金額の10%以内)。
2)特定の地域で特定の産物を奨励するため及び現状を考慮して、特定農産物と関連づけた支払を行う(原則として国別総資金額の8%以内)。
3)条件不利地域に関し、単価の加算を行う(国別総資金額の5%以内)。
 
 緑化支払いは、当該国別総資金額の30%が当てられます。個々の農場は、気候や環境に寄与する農業を実行することにより、単位面積当たり一定の支払いを受けることとなります。その実行行為としては、?永久草地の維持、?多種類作付(作付面積が10ha以上30haまでは2種類、それ以上は3種類で、主作物の作付けが面積の75%まで、主とする2種類の作付けが95%以上)、?草地を除く農地面積が15ha以上の農場に関して5%以上を環境保全地として維持のいずれかとなります。さらに、有機農業、環境農業計画関連等これと同等とみなされるものが列挙されることとなります。また、この違反があった場合は、この30%支払い単価の125%が罰金となります。すなわち、7.5%相当分が基本支払いの方に入り込んで減額となります。このような緑化支払いは、ほとんどの農家が受け入れ可能なこととなり、これまでの平均単価とあまり変わりのない直接支払いの受け取りが可能となると考えられますが、環境保護的な農業の機能を支払いの根拠にして行こうという意図がうかがえます。

 さらに、対象農業者として、企業組織のものに関し、主業が農業以外のもの(例えば鉄道、空港等)は直接支払いの対象外とするとしており、また、予算の都合で、支払額に影響が出た場合、1農家当たり2000?までは前年を下回らないようにするとしております。

2.市場調整制度(Market Management Mechanisms)
 第1の柱の中の制度ですが、市場調整制度は、種々の変更は伴いつつ、基本的には市場介入、在庫補助等の形で続けることとなります。市場介入は、小麦・大麦・とうもろこし等の穀物及び脱脂粉乳・バター・牛肉についての一定数量までの基準価格での買い入れが主となります。しかし、マクシャーリー改革で、価格支持方式を面積あたりの所得保証方式に組み替えたため、基準価格が大幅に引き下げられ、かつ、買い入れ限度数量も低く定められております(小麦・大麦・とうもろこしで、原則として300万トン等)。したがって、これは価格支持的なものではなく、調整在庫買い入れ的なものとなっております(わが国が、コメについて、食管の全量買い入れから調整保管買い入れに変更したことと似ております)。また、これを補完するものとして、民間在庫保管補助があり、牛肉、バター、脱脂粉乳、豚肉、羊肉、砂糖等が対象になりますが、民間は過剰在庫を避ける傾向にあり、一時的な調整のための措置の性格が強くなると思われます。
 その他の市場調整措置に関しては、牛乳の数量割り当ては2015年に終了し、砂糖の割り当ても2017年9月末で終わります。ワイン生産に関しても、ワイン用ブドウの作付け権制度は2015年末に終了し、2016年からは、年1%以内の増殖権制度を導入することとなります。また、果物及び牛乳の学校給食制度は維持されます。
一般的な市場かく乱に関しては、すべての作目に関し、新しいセーフガード措置が導入され、委員会が緊急措置をとれるようにするとのことです。そのほか、市場の著しい不均衡是正のための生産者団体の暫定的な共同行為(例えば市場からの隔離、貯蔵等)を認めます。

3.農村振興(Rural Development)政策
 農村振興政策は第2の柱で、現行と同様、EU予算の中から各国の基金に資金が支出され、各国又は地域は、EUのメニューを基本にそれぞれに合った複数年にわたるプログラムを作ることとなります。その基本的なメニューは次のようなものです。
1) 技術革新
資源の効率利用、生産性向上、排ガス削減、気象に配慮した農林業等の技術研究とその普及
2) 知識活用型農業
普及制度の強化
3) 農場近代化、投資、改善
補助制度の活用
4) 若手農業者支援
事業開始資金の準備(70,000?まで)、投資補助、トレーニング
5) 小農支援
事業開始資金の準備(15,000?まで)
6) リスク・マネージメント
相互保険
7) 生産者団体
組織支援
8) 農業・環境支払
十分なトレーニング制度と関連づけた共同契約
9) 有機農業
明確な方法による有機栽培
10) 林業
林業に対する補助又は毎年の支払い
11) 山岳地帯
北緯62度以北の山岳地帯に対するヘクタール当たり450?までの支払い増加
12) 自然条件不利地域
環境保全のため全耕地面積の10%以内を自然条件不利地域として指定
13) 協同化
商業面のみでなく環境、技術をも含む協同化推進
14) 非農業的活動
小事業の立ち上げ支援
15) 基礎的サービス及び農村改善
ブロードバンド・インフラの整備、再生可能エネルギーの活用
16) LEADER
EUの推進するLEADER制度の農村コムニティーでの活用     


                                        (公益社団法人 国際農林業協働協会 顧問 東 久雄)