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『海外農林業情報』No.54

海外農林業情報 No.54 (2016年1月6日


環太平洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)協定の動き

大筋合意が出来上がったTPPに関し、米国政府は、2月3日に署名し、議会の批准手続きに入るとしていますが、議会側からは、担当委員会である上院財務委員長が、消極的な姿勢を示すなど、不透明な状況が続いています。他方、昨年中の合意を目指していたEUとのTTIP(The Transatlantic Trade and Investment Partnership)協定の交渉も、TPP交渉が長引いたこともあり、本年にずれ込むことを昨年末の12月11日に共同声明で明確にし、オバマ政権下で合意が成立するかどうかが微妙な状況となっています。オバマ政権は、TPPとTTIPを合わせて、21世紀の国際貿易ルールを確立するとの方針ですが、EU側は、加盟国それぞれの国内規則の変更を伴う問題が多いために、各加盟国との合意を得ながら進めていかなければならない状況もあり、今年いっぱいの合意は難しいと考えているようです。今後、TPPの議会批准手続きとの関係で、TTIP交渉が問題を提起したり、逆にTTIP交渉が影響を受けたりする可能性があります。TTIP交渉の現況についてまとめてみました。

市場アクセスとして、物の貿易と関税、サービスと投資、政府調達に分け、それぞれの分野のルールを定めるとともに、具体的な個別譲許表をまとめようとしています。ルールに関しては、両者の主張を併記された統一文書が作成されているようで、譲許表に関しては、関税について両者のオファー表を交換しております。双方とも97%の品目の撤廃をオファーしているようですが、3%はセンシティブ品目として、今後の交渉事項となっているようです。また、オファーされているものについても、撤廃時期に関しての交渉が行われると思われます。関税との関連で、自動車、繊維製品等いくつかの品目に関しては、個別の原産地規則の提起も含まれているようです。サービスと投資の譲許表に関しては、原則自由としてネガティブ・リストとするか、自由化分野のポジティブ・リストとするかが決まっておらず、取りあえず、両者の合体型(ハイブリッド)として、両リストが交換されたという状況のようです。この分野では、やはり、金融分野の取り扱いが問題のようです。政府調達に関しては、米国の州政府の取り扱いが定まらず、交渉が進んでいないようです。EUとしては、加盟国が対象となるのに、州政府が対象とならないのは、バランスを失するということのようです。
一般ルール分野として、エネルギー・資源、通関施設、中小企業、知的所有権(IP)、発明者保護、競争(独占禁止)政策、紛争処理、労働問題、環境問題等が検討されているようで、ほとんどの分野で両論併記の統一文書ができているようです。また、これらのルールは、TPPが先行しており、それとの整合性が求められると思われます。しかし、技術的貿易障壁(TBT)と、食品衛生・防疫措置(SPS)に関しては、米・EU間の独特の懸案問題があり、交渉は進んでおらず、まだ文書作成には至っていないようです。
TTIPの特異な分野として、基準・規制の共通化が新たな分野となるようですが、その中の規制の一般原則に関しては、両者の主張併記の統一文書が作成されるとともに、個別分野として、化学品、化粧品、機械、医療器具、薬品、農薬、情報機器、繊維、自動車に関する規格・基準の案が双方の業界間で話し合われ、相互承認または共通化の方向で、EU側から文書が提出されているようです。

農業に関しては、ワイン、乳製品を中心とした産地表示、ホルモンや薬品により成長を促進された畜産物、米国の抗菌薬による鶏肉の洗浄処理等が問題とされている他、米国への乳製品の市場アクセスが大きな問題となっているようです。とくに、米国が一部の乳製品に関し、昨年10月にWTO上の特別セーフガード措置を採らざるを得ないような輸入急増があり、米国の酪農業界で警戒感が強くなっているようです。


<参考リンク>
Joint Statement by Ambassador Froman and EU Commissioner Malmstrom on the Transatlantic Trade and Investment Partnership Negotiations (USTR、英語)

( 文責:西野 俊一郎)

 

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