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『海外農林業情報』No.60

海外農林業情報 No.60 (2016年6月28日


英国のEU離脱について

 6月23日に実施された英国の「EU残留・離脱」に関する国民投票は、「離脱」が過半を占める結果となりました。これは、直ちに「離脱」となるものではなく、まず英国政府がEUとの間で、「離脱の交渉を始めること」になります。EUとしては、初めての離脱交渉になりますが、基本条約であるリスボン条約によれば、加盟国の離脱交渉請求を受けて、2年後に離脱となり、その間に離脱条件を協議することとなっています。キャメロン首相は、投票結果を受けて、直ちに「10月の保守党大会での辞意」を表明し、「今後のEUとの交渉は、新しい指導者の下で」と発言しており、離脱通告は、10月以降となり、それから2年間は現在の状態が続きます。また、一部には、「新政権も相当の時間をおいてから通告するのではないか」とも言われており、さらに「離脱」は遅れるのではないかと推測されています。

これは、「国際経済、為替、金融市場に大きな影響を与える」(安倍首相コメント)こととなり、すでに、各国の株価、円高を含めた為替変動、世界金融市場におけるドル不足という形で、反応が出ています。他方、貿易体制は、当面大きな変化はなく、今後の離脱交渉によって変化が出ると予想されています。この変化は、対EU関係とその他の国との関係に分かれますが、EUとの関係について、離脱決定前の6月11日付のエコノミスト誌が次のように要約しています。

1. 欧州経済地域(EEA)に加盟しているアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーはEUには非加盟だが、単一市場へのアクセス権がある。英国としては、ここへの加盟が考えられる。もっとも、これらの国の輸出は原産地規則の審査対象となるため、英国製品のコストが増えるといわれている。
2. スイスはEEAと似たような2つの2国間貿易協定をEUと結んでいるが、金融サービスの大半は含まれない等、例外を設けている。
しかしながら、1と2のような方式には次のような問題点が残る。第1に、EEA加盟国(とスイス)は人の移動の自由を受け入れる義務を負っている。EEA諸国は国境検査なしで域内を自由に異動できるシェンゲン協定に参加している。第2に、これらの国は多額のEU予算を負担しなければならない。第3に、EEA加盟国(とスイス)が単一市場へのアクセスを維持するためにはEUの規則と規制をほぼすべて順守しなければならない。しかし、この法律・規制への発言権は一切ない。
3. むしろ有望なのはカナダ式の自由貿易協定だ。カナダとEUの協定は労働者の自由な移動やEUの規則順守、EU予算への拠出が除外されているからだ。だが、協定の対象は全製品ではなく、金融サービスも含まれない。

 なお、EUの協定・規則に英国の制度が縛られていることについては、今回の国民投票での論点の一つではありましたが、一応EU規則にのっとって国内法を定めているので、人の移動問題等の喫緊のものを除き、当面はそのままとなり、徐々に必要に応じて改訂されていくと思われます。しかしながら、税関、出入国管理等の手続きは離脱直後から必要となり、特に、スペインと英領ジブラルタル、アイルランド共和国と北アイルランドは、地続きで、労働者の行き来があり、問題が生ずると言われています。

次いで、EU以外の国との貿易体制ですが、まず韓国、中国、カナダ等EUと貿易協定(FTAまたはEPA)を結んでいる国との関係をどうするかです。英国が同じ内容の協定をそれぞれの国と結ぶかどうかということとなりますが、変更するとなった場合には、それぞれの国と個別に交渉することとなるでしょう。また、現在EUが交渉中の米国とのTTIP、日本とのEPAは、当面頓挫することが懸念されています。さらに、WTO上の英国の取り扱いが問題になります。英国が現在のEUと同じ譲許をすることで、一括して英国としてのWTO加盟とEUから英国が抜けることを承認するという形をとって、英国がいわゆる最恵国待遇を享受することに関し、個別国との交渉を必要としない形をとることになるのではないかと思われます。しかし、これまでのGATTおよびWTOの交渉で、EUと個別国との間で特別協定(関税割当数量の取り決め等)のあるものは別途個別の交渉が必要になると思われます。

英国の農業・農政の変化ですが、まずEU共通農業政策から離れることになります。したがって、英国は、別個の価格支持体系を構築していく必要があり、また、補助金制度もEUのものとは違う形になるのではないかと思われます。英国の欧州経済共同体(EEC)加盟前の農政を思い起こすと保護の水準が下げられ、補助金制度も整理されるのではないかと思われます。また、衛生・検疫(SPS)、基準・認証等の制度は、EUの規則を国内法・規則として適用しているので、当面大きな変化はないと思われますが、国境での監視体制は再構築の必要が生ずると思われます。

いずれにせよ、当面は大きな変化はなく、EUとの離脱交渉において、前述のような問題点も話し合われ、徐々に新たな体制が構築されていくと思われますが、その間にも、英国内に「スコットランドの連合王国からの離脱、EU残留」の声が上がっており、「北アイルランドのアイルランド共和国への合併」(英国は、イングランド、ウェールズ、スコットランドおよび北アイルランド連合王国が正式の名称で、4つの王国が連合している形になっています。今回の投票では、スコットランド、北アイルランドとも残留派が6割を越えていました)の動きもあるとのことで、英国内での種々の軋轢が予想されています。このようなことから、「離脱」申請がますます遅れるのではとの観測が出ていますが、EU側としては、ユーロ問題、金融問題、さらに他国との貿易交渉の問題への取り組みが急がれており、英国との早期協議を望んでいるようです。

<参考リンク>
EU離脱派の弱点は経済だ(日本経済新聞、6月14日付)〔6/11付エコノミスト誌の翻訳〕

( 文責:森 麻衣子)
 

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