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『海外農林業情報』No.66

海外農林業情報 No.66 (2016年12月15日

TPPをめぐる動き
我が国では、TPP協定承認案と関連法案が12月9日の参議院本会議で可決され、成立しました。今後、政府としては、国内法上の手続きを完了した旨を本協定の寄託者となっているニュージーランド政府に対し通報することになります。また、ニュージーランドとシンガポールにおいて、批准等の国内手続が相当進展していると伝えられています。しかし、「原署名国の総GDPの85%以上を占める6ヵ国以上が国内法上の手続きを完了した旨を通報」という要件を満たして発効するかどうかは、総GDPの約6割を占める米国が批准するかどうかにかかっています。

米国では、まだ政府としてTPP条約承認案件を議会に提出しておらず、また、議会では、批准承認の審議には10日は必要とされており、現議会の議員の任期は来年1月3日までであることやクリスマス休暇等を考慮すると、現議会でのTPPの承認は不可能になったと思われます。

トランプ次期大統領は、当選直後は「TPPから撤退する」と発言していましたが、最近は「TPPから撤退することを通告する」という言い方に変わってきています。これは、TPPがまだ発効しておらず、発効していない協定からの撤退ということはあり得ないので、「批准しないという意向を通告する」という意味であろうと推測されます。その状況では、TPPは宙に浮いた状態となり、今後の米国の通商政策全体の中でどうなっていくのかが注目されます。

一方、米国議会では、自由貿易推進派の共和党が過半数を占め、かつ、その幹部は、最近、TPPの重要性をトランプ新大統領に理解させることが必要であると述べています。特に、オリン・ハッチ上院財政委員会委員長(通商担当委員会)は、トランプ次期大統領の考え方を変える必要があるとし、トランプ氏の主張である2国間協定の考え方に沿って、まず日本との間でTPPと同様の内容の協定を結び、その後他の国々との間で同様の協定を次々に締結していくことによって、せっかくの幅広いルール協定を含むTPPと同じ効果のある通商体制を実現すべきであると述べているようです。

TPPが以上のような状況にある中で、ASEAN加盟10ヵ国と日・中・韓、さらにインド、オーストラリア、ニュージーランドの6ヵ国を含めた16ヵ国の間で話し合われてきた東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)が注目されています。TPP協定では、国家貿易、知的財産権、労働・環境基準等のルールや、サービスおよび投資の自由化といった分野において、中国が受け入れられない事項が多く含まれており、中国としては、RCEPによって関税分野を中心としたアジア地域貿易体制のリーダーシップをとっていきたいとの考えがあると言われています。また、RCEPは、主としてWTO上の開発途上国特恵関税制度を使ったFTAとなるため、中国を含む途上国にとっては、原則関税撤廃という一般的なFTAのルールにとらわれる必要がないため、全体としての関税撤廃率も、TPPに比べて相当低くなると思われます。

このように、中国が主導した地域貿易体制の交渉が進む中で、米国内では、安全保障の観点、あるいは通商のリーダーシップをとる必要性から、TPP協定はぜひ批准しなければならないという考え方も出てきているようです。

( 文責:森 麻衣子)
 

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