『世界の食料安全保障と栄養の現状2023年報告 要約版』

『世界の食料安全保障と栄養の現状2023年報告 要約版:農村−都市の連続体における、都市化、農業・食料システム変革、そして健康的な食生活』
2024年7月、22×16cm、42p
ISBN: 978-4-911084-02-1 pdf (印刷版はございません)

FAOの報告書『The State of Food Secutity and Nutrition in the World 2023』の要約版を翻訳・刊行しました。

 

紛争の激化と相互作用、異常気象、経済の減速や景気後退に重なるように、栄養価の高い食品が手頃な価格で入手しにくくなり不平等も拡大していることが、SDG 2 (飢餓ゼロとあらゆる形態の栄養不良の解消)達成への軌道から私たちを押し出していることを、本「栄養の現状」報告書では2017 年版以降、繰り返し強調してきました。しかし、SDG 2 を達成する上での課題と機会を十分理解するためには、他の重要なメガトレンドも、分析の要素として考慮に入れなければなりません。このようなメガトレンドの一つが、本年度の報告書で焦点を当てている都市化です。

都市化は多くの国で進んでおり、農村と都市は別物という単純な概念ではもはや理解できない形で農業・食料システムを変えつつあることを本書は示しています。農村・都市連続体の変わりつつある人口集積パターンと、社会経済的な相互作用や交流の場としての境界面が、農業・食料システムを再形成し、あるいは農業・食料システムによって再形成されて、健康的な食事の経済的な入手しやすさと、ひいては食料安全保障や栄養に影響を及ぼしています。一部の国では、食品購入額が都市世帯だけでなく農村世帯でも多いことを新たなエビデンスが示しています。超加工食品の消費量が、都市周辺部や農村部でも増えている国もあります。これらの変化は、農村・都市連続体全体のどこに住んでいるかによって、異なる形で、人々の食料安全保障や栄養に影響を及ぼしています。

本報告書では、都市化が進む農業・食料システムの変革による課題に対処するために、また、手頃な価格の健康的な食事へのアクセスをすべての人に確保する機会を可能にするために必要な政策、投資、行動について提言を示しています。