エクアドル国チンボラソ県持続的農村開発プロジェクト中間レビュー調査から

 チンボラソ県は、エクアドル山岳地域のほぼ中央部に位置する人口約 40 万人の地方県です。同県は、主要な生計手段である農業所得の低さに加え、質の低い教育・医療・基礎インフラによる劣悪な生活環境及び自然資源の劣化(森林破壊による流域荒廃、土壌浸食など)に起因して、山岳地域10県の中でも深刻な貧困問題を抱えています。

 これらの複合的な問題を解決するために、JICAは、エクアドル政府の要請を受け、貧困削減に向けた参加型の持続的総合農村開発の実施体制整備と戦略策定を目標とした「チンボラソ県貧困削減のための持続的総合農村開発実施体制強化プロジェクト」を2009 年2月から 2011 年8月まで実施しました。その後、JICAは、2012年3月から2017年3月までの5年間の予定で、チンボラソ県政府、農牧漁業省、環境省、教育省、保健省をカウンターパート(C/P)機関として、住民の生計向上及び生活環境の改善に向けた開発事業の実施基盤整備と農村開発ガイドライン作成を目的とした「チンボラソ県持続的総合農村開発プロジェクト」を開始しました。

 今般プロジェクト開始後2年半が経過し、プロジェクト期間の中間時点を迎えたことから、独立行政法人国際協力機構の中間レビュー調査団が派遣され、エクアドル側実施機関及び関係機関との合同による中間レビューが実施されました。プロジェクトの進捗状況や実施プロセスを確認し、達成度の検証を行い、更に評価5項目による分析の結果から、プロジェクトの残り期間の課題及び今後の方向性について検討し、エクアドル側・日本側の関係者間の合意によって、評価結果を合同評価報告書に取りまとめました。

 評価分析担当者として、当該技術参与が、本中間レビュー調査に参加させていただきました。実は、当該技術参与は先行プロジェクトである「チンボラソ県貧困削減のための持続的総合農村開発実施体制強化プロジェクト」にチーフアドバイザーとして携わっていました。従って、約4年ぶりのチンボラソ訪問でした。

 現在チンボラソ県政府から同プロジェクトにC/Pとして19名が参加していますが、そのうち4名は先行プロジェクトでもC/Pでした。それ以外にも県政府に多くの知人が残っていました。旧交を温めあい、以前の仲間の近況や噂話で盛り上がりました。

 現行プロジェクトは30集落を対象としていますが、中間レビュー調査では13集落を視察しました。先行プロジェクトは6集落を対象としていましたが、そのうち4集落が現在でも対象集落として残っており、今回の調査で訪問することができました。1集落は以前の対象集落に隣接した集落でした。嬉しかったのは、集落の人々が私のことを覚えてくれていたことです。自慢げに農村開発活動をずっと続けてきたと話してくれました。

 現行プロジェクトの中間レビュー調査のコンサルタント団員として選んでいただいき、専門家として仕事をした場所を再び訪れる機会を与えてもらい、懐かしい風景の中、昔馴染みに出会えたことは大きな喜びでした。