ボリビア国持続的農村開発のための実施体制整備計画フェーズ2専門家派遣(農村開発制度/参加型開発)から

 ボリビアは近年ウユニ塩湖に行く日本人観光客が増えた南米内陸国です。実質的な首都はラパス市ですが、憲法上の首都はスクレ市にあります。スクレ市があるチュキサカ県は同市市街地を除くと貧しい農村地帯が広がっています。

 その状況の技術的改善策を示すため、緑資源公団が1999年から2003年までチュキサカ県において「農地・土壌浸食防止対策実証調査」を行いました。その後、JICAが、実施体制の整備を目的とした技術協力プロジェクト「持続的農村開発のための実施体制整備計画」を2006年1月から2008年1月までの2年間実施しました。次に、対象集落をフェーズ1の8集落から36集落に拡大させ、農村開発の計画から実施までのプロセスを「自然資源の回復と保全を軸とした住民主体の農村開発モデル」として確立する目的とした「持続的農村開発のための実施体制整備計画フェーズ2」を2009年5月21日から2014年5月20日までの5年間、サンフランシスコハビエル大学、チュキサカ県庁、同県北部9市をカウンターパート(C/P)として実施しました。

 対象35集落は、同県北部地域9,247km2の中に分散しており、遠い集落は県都スクレ市から車両で片道約4時間かかりました。小規模予算の住民参加型の農村開発事業であるミニプロジェクトが2013年末までに266案件実施されました。灌漑、農業、畜産、植林、社会開発の5分野の事業が行われました。これらの結果に基づいて、農村開発モデルとして、9冊の技術リスト、1冊の持続的農村開発向けプロジェクトサイクルのガイドが作成されました。

 同プロジェクトに、「チーフアドバイザー」がシャトル型で年数度短期間訪問し、現地で「現地リーダー/農村開発」、「参加型開発/農村開発制度」、「業務調整」の3名の長期専門家が派遣されました。当該技術参与は「参加型開発/農村開発制度」の後任専門家として2012年8月から2014年5月までプロジェクトに参加し、集落での活動に携わりました。

 プロジェクト終了に併せて帰国する前、一緒に現場で動き回っていた仲間達が週末に当該技術参与のために焼き肉パーティをしてくれました。

 子ヒツジから毛皮と内臓を取り除いた後、十字架状にした鉄棒の横棒に後ろ足が開かれて縛り付けられました。そして前足は下側で開いて針金で固定されます。始めは75度くらいの角度で焚火の上に傾けて鉄棒を石で固定されました。

 火が通って焼けて食べられるようになった場所から切り取って食べていきます。食べて肉の焼けた部分が減ると、だんだん鉄棒を傾け倒していきます。最後は15度くらいにまで倒されます。

 味付けは、塩とレモンと赤ワインだけ。それを器で混ぜたものを肉に直接掛けます。全ての焼けた肉を切り取ったころあいを見て、新たな表面に掛けていきます。既に味付きになっているので、食べる時に改めて味付けることはしません。

 肉が焼けるにつれ肉汁と脂が垂れ落ちていきます。たれ落ちた肉汁とともに臭みが抜けるのか、今まで食べたヒツジ肉の中で最も肉の臭みがありませんでした。 あるいは、魚も釣ってすぐに漁船の上で食べるのが、一番臭みがなくて新鮮でうまいというけど、あれと同じようなもので、捌いてすぐだと臭みが少ないのかもしれません。

 ボリビアでは子ヒツジが一般的だが、アルゼンチンでは、これを子牛でやるといいます。いつか食べてみたいものです。ワインやビールとよく合って美味しかったです。

 現場の集落で一緒に活動して色々な経験を現場スタッフと共有しました。中でもこの送別会は記憶に残るものでした。旨かったのは、豪快な肉の焼き方に加えて、野外でずっと一緒に苦労した仲間が集まって仕事の打上げを祝ってワイワイ騒ぎながら食べたからでしょう。