日本への視線―ミャンマーの黒ゴマ―(2)

ミャンマー:平成30年度アジア・アフリカ地域の農業者に対する農業生産技術指導(農林水産省補助事業)

8月~9月にかけて、乾燥方法の改善を目的として日本人専門家を現地に派遣する。
(6月の事前調査についてはこちら。)

ミャンマーの黒ゴマについては、残留農薬と遊離脂肪酸の管理が課題となっていることから、本事業では、乾燥中の黒ゴマの害虫発生状況はどうなっているか、乾燥方法が酸価値の上昇にどのように作用しているか、現地の農家、普及員とともに検討する。派遣する専門家の一人は、全国胡麻加工組合加盟企業の専門家であり、日本の市場ニーズを基にゴマの品質を現地で指導いただく。

日本のゴマメーカーや商社の方々は、これまでも、首都から離れた産地圃場まで足繁く通い、農家や普及員と接触している。農家向けの小セミナーを各地で開くなどして、良いゴマを生産してもらうための努力を重ねており、こうした地道な活動が日本のゴマ消費を支えているのだと感服する。

一方で、日本側からの情報は現地関係者の中でうまく共有されていないようだ。「日本が求める品質や輸入基準がよく分からない」との声を現地で耳にしたし、また、「バンコクでの検査でパスしたものが、日本の港でシップバックとなり、その理由が分からない」と、不信感も見え隠れした。

情報の流れが滞りがちなミャンマーの現状を見ると、本事業によって、いつもとは違うルートで全国胡麻加工組合の専門家が現地関係者と協議の場を持つことは、意義あることといえるだろう。日本側の要望を現地関係者に広く丁寧につなげていくことは本事業の役割の一つであり、日本市場に関する情報の提供、シップバックの原因や市場評価等のフィードバックによって、品質の向上や安定化がさらに進むことが期待される。

ミャンマー農業省では、「日本へのゴマ輸出を安定・拡大していきたい」との強い希望を聞いた。現在、ミャンマーの一部ゴマ産地では、GAPの考え方を取り入れて、より安全で品質の安定したゴマを生産しようという動きも始まっている。

こうした産地のチャレンジやわが国メーカーや商社による取組みをサポートし、市場ニーズに敏感な産地形成を支援することは、本事業の目的でもある。

(報告:西山亜希代)

 

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