『海外農林業情報』号外(2012.8.17)

『海外農林業情報』号外(2012.8.17

米国での干ばつの影響を反映した収量予測

USDA(米国農務省)は、World Agricultural Supply and Demand Estimates(8月10日付け)で、コムギ、粗粒作物、油糧作物、砂糖、綿花、畜産物等広範囲にわたる農産物需給動向を示しました。今回の報告は米国で続いている干ばつの影響が反映されることもあって注目されていました。穀物に関する主要な報告は以下のとおりです。

<コムギ> 米国の生産量は、2010/11 年度の6,006 万トンに対し、2012/13 年度の予測値では6,173 万トンへと増加しています。しかし、諸外国の生産状況が厳しいことと、トウモロコシ価格の高騰を受けた飼料用需要の増加を反映して価格が上昇しており、2011/12年度コムギ平均農家手取り価格が7.24 ドル/bu(ブッシェル)だったのに対し、2012/13 年度は7.60~9.00 ドル/bu へ上昇すると見られています。世界全体については、2012/13 年度の生産見通しは先月発表値の6億6,533 万トンから、今月は6億6,283 万トンと下がっているものの、2010/11 年度の6億5,190 万トンよりは増加となっています。国別では、ロシアの春小麦生産地域における高温乾燥によって生産が落ち、更に、トルコ、アルゼンチン、シリア、EU27 ヵ国でも生産が落ちている一方、インド、ウクライナ、カナダ、ウズベキスタンでは増加しているとされています。

<トウモロコシ>米国のコーンベルトで極端な高温と乾燥が続いているため、収量は先月発表値より22.6bu 低い123.4bu/ac(約8.3t/ha)まで落ちると予測され、その結果、米国の生産量は2010/11 年度の3億1,617 万トンから、2012/13 年度予測では2 億7,379 万トンへと大幅に減少し、2006/7 年度以来の最低の水準になると報告されています。これを受け、平均農家手取り価格は2010/11 年度の5.18 ドル/bu から、2012/13 年度では7.50~8.90ドル/bu へと上昇すると見通されています。

<ダイズ>収穫面積の縮小と高温乾燥による収量低下によって、米国の生産量は2010/11年度の9,061 万トンに対し、2012/13 年度では7,327 万トンに減少すると見通され、2012/13
年度の平均農家手取り価格は15.00~17.00 ドル/bu に上昇する予想となっています。

参考リンク
World Agricultural Supply and Demand Estimates(USDA、8月10 日)

(文責:西野 俊一郎)